腱板損傷・腱板断裂とは?
おはようございます。理学療法士の水尻です。今日は372日目の投稿です。

肩の痛みが続いていると、「五十肩かな?」と思いがちですが、実は腱板(けんばん)という肩の深い部分のすじが傷ついている可能性があります。
この記事では、腱板損傷・腱板断裂について、できるだけわかりやすく解説します。
腱板(けんばん)とは?
肩の奥には、腕の骨(上腕骨)と肩甲骨をつなぎ、腕を上げたりひねったりするときに働くインナーマッスルが集まっています。
このインナーマッスルの腱(すじ)が集まった部分を腱板(けんばん)と呼びます。
腱板の役割はとても重要で、
- 腕の骨がズレないように支える
- 肩の動きをなめらかにする
といった働きをしています。
腱板損傷・腱板断裂とは?
腱板にキズが入ったり、部分的・完全に切れてしまった状態を指します。
● 損傷
すじがささくれたように傷ついた状態(部分的なキズ)
● 断裂
すじが部分的または完全に切れている状態
腱板が傷むと、肩を支える力が弱くなり、痛みや力の入りにくさが出てきます。
どんな症状が出るの?
腱板損傷・断裂でよくみられる症状は次のとおりです。
- 肩〜二の腕の痛み(特に腕を横・上に上げるとき)
- 洋服の脱ぎ着、髪を結ぶ、棚に物を上げる動作がつらい
- 夜寝ていると痛みで目が覚める「夜間痛」
- 腕が途中でガクッと落ちる
- 肩の可動域が少しずつ狭くなる
「五十肩」と似ていますが、腱板断裂では特定の動きで力が入らない・腕が落ちるといった特徴が目立つことがあります。
なぜ起こるの?
主な原因は2つあります。
① 加齢による変性(すり減り型)
50〜60代以降に多く、長年の使用で腱板が弱くなり、ある日ちょっとした動作で切れてしまうタイプです。
② 急なケガ(外傷型)
- 転倒して手や肩を強くついた
- 重い物を急に持ち上げた
- 野球・テニスなどで強く使った
腱板は血流が少ないため、一度傷むと自然治癒が遅いという特徴があります。
どうやって診断するの?
診察で肩の動きを確認したうえで、次の検査を行います。
- レントゲン:骨の形を確認(腱は写らない)
- 超音波(エコー):断裂の有無をその場で確認しやすい
- MRI:損傷の範囲を詳しく調べる
これらを総合して、治療方針を決めていきます。
治療方法は?
治療は「手術しない方法(保存療法)」と「手術」の2つに分かれます。
● 手術しない治療(保存療法)
まず多くの方がこちらから始めます。
- 安静・三角巾で固定(急性期)
- 痛み止めの薬・湿布
- ステロイドやヒアルロン酸の注射
- 理学療法士によるリハビリ
腱板は自然に元通りにはくっつきませんが、 痛みを減らし、日常生活に困らないレベルを目指す治療です。
● 手術による治療
次のような場合に検討されます。
- 保存療法でも痛みが強く残る
- 若い方やスポーツ・仕事で腕をよく使う方
- 大きな断裂がある場合
主な手術は、関節鏡を使って腱板を骨に縫い付ける腱板修復術です。
重度の場合は、上方関節包再建術や人工肩関節置換術が選択されることもあります。
リハビリテーションの重要性
腱板損傷・断裂では、リハビリが非常に大切です。
- 痛みを悪化させない範囲で肩の動きを回復
- 肩甲骨まわりや三角筋などの筋力強化
- 腱板に負担をかけない動かし方を習得
手術後も段階的なリハビリが必要で、再断裂予防にもつながります。
こんな症状があれば早めに受診を
- 2〜3週間以上、肩の痛みが続く
- 夜間痛がある
- 腕を上げると力が抜ける・落ちる
- 五十肩と思っていたが良くならない
早めに原因を知り、適切な治療を始めることで、将来の肩の状態を守ることができます。


