おはようございます。理学療法士の水尻です。今日は484日目の投稿です。
「みんなちがってみんないい」この言葉は、詩人金子みすゞさんの「私と小鳥と鈴と」の一節です。100年もの時代を越えても、今の社会感にも繋がる価値観を考えさせてくれる詩人です。「私が両手を広げても、お空はちっとも飛べないが…飛べる鳥は地べたを早く走れない…」と、詩には書かれていきます。「みんな違ってみんないい」「あなたはあなたのままでいいんだよ」と、投げかけてくれます。基準は誰において見えているとおもいますか。金子みすゞさんは最後に、「鈴と、小鳥と、それから私、」と、結んでいます。人間中心、自分中心ではないことが、この配列からもわかります。様々な出会いを、色んな視点から見ることの大切さを教えてくれる詩です。「あなたはあなたでいい」と、相手にも優しくなれるきっかけになるかもしれませんね。

「手がふるえるようになった」「歩き始めの一歩が出にくい」「動作が遅くなった」。
こうした変化から、パーキンソン病を心配される方は少なくありません。
パーキンソン病は、症状の現れ方や進行の速さに個人差が大きい病気です。しかし、早い段階から薬物療法やリハビリテーション、生活上の工夫を行うことで、症状を和らげ、できるだけ長く自分らしい生活を続けることが期待できます。
この記事では、患者様やご家族が理解しやすいように、パーキンソン病の特徴や症状、治療、生活のポイントについてまとめて解説します。
1.パーキンソン病とは
パーキンソン病は、脳の「中脳黒質」にある神経細胞が少しずつ減少することで起こる進行性の神経変性疾患です。
黒質の神経細胞は、身体の動きを滑らかに調整するために重要なドパミンを作っています。
ドパミンが不足すると、動作が遅くなる、ふるえが出る、筋肉がこわばる、バランスを崩しやすくなるなど、さまざまな運動症状が現れます。
発症の原因は完全には解明されていませんが、遺伝的要素や環境因子が関係すると考えられています。
また、パーキンソン病は「手がふるえる病気」だけではありません。便秘、睡眠、気分、血圧、認知機能など、非運動症状がみられることもあります。
2.パーキンソン病の主な症状
症状は大きく「運動症状」と「非運動症状」に分けられます。
● 運動症状の4つの特徴
① 静止時振戦
じっとしているときに手や足、あごなどがふるえる症状です。
物を持ったり、動作を行ったりすると、ふるえが目立たなくなることもあります。
② 筋強剛・筋固縮
筋肉が硬くなり、肩こりや痛み、身体の動かしにくさが生じます。
「五十肩だと思っていた」「肩こりがなかなか治らない」と感じる状態から症状に気づくこともあります。
③ 動作緩慢・無動
身体の動きがゆっくりになったり、動作が小さくなったりします。
- ・歩幅が狭くなる
- ・小刻み歩行になる
- ・字が小さくなる
- ・表情が乏しくなる
- ・寝返りや立ち上がりに時間がかかる
④ 姿勢反射障害
バランスを崩したときに身体を立て直しにくくなり、転倒しやすくなることがあります。
また、歩き始めや方向転換の際に足が出にくくなる「すくみ足」も特徴的な症状の一つです。
● 非運動症状
パーキンソン病では、運動以外にも次のような症状が現れることがあります。
- ・便秘
- ・頻尿、排尿しにくさ
- ・立ちくらみ
- ・睡眠障害
- ・嗅覚の低下
- ・気分の落ち込み、不安
- ・幻視
- ・認知機能の低下
- ・飲み込みにくさ
これらは本人やご家族が「パーキンソン病の症状」と気づきにくい場合もあります。
3.パーキンソン病は治る?
現時点では、減少したドパミン神経細胞を元通りにする根治療法はありません。
しかし、症状を和らげ、生活の質を保つための治療は可能です。
治療の中心は次の3つです。
● 薬物療法
不足しているドパミンの働きを補ったり、ドパミンの作用を調整したりする薬を使用します。
代表的な薬には、以下のようなものがあります。
- ・L-ドパ製剤
- ・ドパミンアゴニスト
- ・MAO-B阻害薬
薬の効果や副作用には個人差があります。
自己判断で薬を減らしたり、中止したりしないようにしましょう。
● リハビリテーション
パーキンソン病では、症状や生活状況に合わせてリハビリテーションを行います。
- ・歩行練習
- ・姿勢改善
- ・バランス練習
- ・筋肉や関節の柔軟性を保つ運動
- ・立ち上がり練習
- ・寝返りや起き上がりの練習
また、床の線をまたぐ、音楽やメトロノームなどのリズムに合わせるといった外からの合図(キュー)を利用することで、動きやすくなる場合もあります。
● 生活環境の調整
転倒を予防し、できるだけ安全に生活を続けるためには、生活環境を整えることも重要です。
4.パーキンソン病はどのように進行する?
パーキンソン病の進行速度や症状の現れ方には、大きな個人差があります。
そのため、「何年で歩けなくなる」といった一律の目安はありません。
● Hoehn-Yahr(ホーン・ヤール)重症度分類の目安
| 段階 | 状態の目安 |
|---|---|
| 0度 | 症状なし |
| 1度 | 身体の片側に症状がある |
| 2度 | 両側に症状があるが、姿勢反射障害はない |
| 3度 | 姿勢反射障害があるが、日常生活はある程度自立している |
| 4度 | 症状が進行し、日常生活に介助が必要になる |
| 5度 | ベッドや車椅子での生活が中心となる |
ただし、症状の組み合わせや生活上の困りごとは人によって異なります。
定期的に身体の状態を評価し、その時期に合った治療やリハビリを行うことが大切です。
5.診断されたら、まず何をすればいい?
① 主治医から治療方針を確認する
診断されたら、まず主治医から以下の内容を確認しましょう。
- ・現在の症状や重症度
- ・治療方針
- ・薬の効果と副作用
- ・今後の受診間隔
② 症状日誌をつける
毎日細かく記録する必要はありません。
例えば、次のような内容を簡単に記録すると、症状の変化に気づきやすくなります。
- ・薬を飲んだ時間
- ・身体が動きやすい時間帯
- ・ふるえの強さ
- ・すくみ足の有無
- ・転倒の有無
- ・便通
- ・睡眠の状態
③ 早期からリハビリを相談する
症状が軽いうちから身体を動かす習慣を作ることは重要です。
歩行、姿勢、バランス、柔軟性などを定期的に確認し、その人の生活に合わせた運動を行います。
④ 転倒しにくい環境を整える
- ・必要に応じて手すりを設置する
- ・段差を確認する
- ・夜間の照明を確保する
- ・滑りやすいマットを片付ける
- ・通路に物を置かない
転倒は骨折や活動量の低下につながることがあるため、早めの環境調整が大切です。
⑤ ご家族や相談窓口とつながる
パーキンソン病では、治療だけでなく生活面や介護、仕事についての相談が必要になることもあります。
一人で抱え込まず、ご家族や医療機関、地域の相談窓口などとつながっておくことが大切です。
まとめ
パーキンソン病は、脳内のドパミン神経細胞が減少することで、さまざまな運動症状・非運動症状が現れる病気です。
現時点では根治療法はありませんが、
- ・薬物療法
- ・リハビリテーション
- ・生活環境の工夫
を組み合わせることで、症状を和らげ、生活の質を保つことが期待できます。
診断されたら、焦らず一つずつ準備を進めていきましょう。
パーキンソン病の経過は人それぞれです。「病名」だけで将来を決めつける必要はありません。
症状の変化を定期的に確認しながら、医師やリハビリスタッフと相談し、その時々の状態に合った治療や生活の工夫を続けていくことが大切です。



