おはようございます。理学療法士の水尻です。今日は471日目の投稿です。
8月の旧称は葉月といいます。本来は9月から10月の上旬に当たり、秋の訪れを感じて木々が葉を落とす月ということで葉月という名前になったと聞きました。木々が葉を落とすのは冬に葉で行われる光合成よりも葉を維持する方がエネルギーがかかるため、無駄を省いているためです。それに従って自分たちも見返してみましょう。無駄な部分はないでしょうか?無駄に見えて必要な部分はきちんと見極めることが大事です。意味があって残している部分があると思います。葉月は木々が葉を落とす月ということでしたが、私たちは葉を落としつつ、大きな大樹を目指して突き進みましょう。

前回の記事では、胸郭出口症候群のセルフチェック方法やストレッチ・セルフエクササイズについてご紹介しました。
今回はその続きとして、胸郭出口症候群のリハビリについて解説します。
胸郭出口症候群(TOS)は、首から腕へ向かう神経や血管が、首・鎖骨・胸の前にある狭い通り道(胸郭出口)で圧迫されることで起こる病気です。
そのためリハビリでは、痛みがある場所だけを治療するのではなく、神経や血管がどこで圧迫されているのかを考えながら、姿勢・筋肉・関節の動きを整えていくことが重要になります。
🎯 リハビリの目的
胸郭出口症候群のリハビリには、次のような目的があります。
- ・神経や血管の通り道を広げやすくする
- ・首・肩・胸まわりの筋肉の緊張をやわらげる
- ・肩甲骨の位置を整える
- ・呼吸をしやすくする
- ・日常生活での負担を減らす
胸郭出口症候群では、斜角筋や小胸筋の緊張、胸鎖関節・肩鎖関節の動きの低下、肩甲骨のアライメント異常などが複合的に関係しています。
そのため、筋肉の柔軟性を改善するだけではなく、姿勢や体の使い方を再学習することもリハビリの大切な目的です。
🚫 まずは症状を悪化させないことが大切
胸郭出口症候群は、「たくさん動かせば早く治る」という病気ではありません。
腕を長時間上げる動作や不良姿勢によって症状が悪化しやすいため、まずは日常生活での負担を減らすことが基本になります。
日常生活では次のような点を意識しましょう。
- ・長時間の前かがみ姿勢を避ける
- ・肩をすくめるクセを減らす
- ・重い荷物を片側だけで持たない
- ・腕を上げ続ける作業を減らす
- ・30〜60分ごとに休憩を入れる
こうした工夫を取り入れるだけでも、リハビリの効果が得られやすくなります。
🩺 リハビリで行うこと
① 姿勢の改善
胸郭出口症候群では、猫背・巻き肩・頭部前方位(頭が前に出た姿勢)が症状を悪化させやすくなります。
まずは骨盤・背骨・肩甲骨の位置を整え、首や肩への負担を減らします。
座る姿勢のポイント
- ・背もたれに頼りすぎない
- ・あごを軽く引く
- ・肩を後ろへ引きすぎない
- ・胸を張りすぎない
「頑張って姿勢を作る」のではなく、自然に楽な姿勢を保つことが大切です。
② 胸まわりの柔軟性を高める
胸の前の筋肉が硬くなると、鎖骨の下や肩の前が縮こまり、神経や血管が通るスペースが狭くなります。
特に柔軟性を高めたい筋肉は次のとおりです。
- ・小胸筋
- ・斜角筋
- ・胸郭まわりの筋肉
ただし、強く伸ばしすぎると症状が悪化することもあるため、気持ちよく伸びる程度で行いましょう。
③ 肩甲骨の安定性を高める
胸郭出口症候群では、肩甲骨が前へ出たり、肩がすくみやすくなることがあります。
そのため、僧帽筋(中部・下部線維)や前鋸筋を使いながら肩甲骨を安定させる練習を行います。
肩甲骨が安定すると、首や肩の筋肉への負担が減り、腕を動かしたときの神経や血管への圧迫も起こりにくくなります。
④ 呼吸を整える
浅い呼吸や肩で息をするクセは、首や肩まわりの筋肉を緊張させる原因になります。
腹式呼吸や深呼吸を取り入れ、胸郭全体が広がるような呼吸を意識しましょう。
呼吸が整うことで首や肩の過緊張がやわらぎ、体もリラックスしやすくなります。
🏠 自宅でできるリハビリの考え方
自宅でのリハビリは、「姿勢」「柔軟性」「筋力」「呼吸」の4つを組み合わせることがポイントです。
姿勢の練習
- ・椅子に深く座る
- ・背すじを軽く伸ばす
- ・肩を自然に下げる
- ・あごを引きすぎない
柔軟性の練習
- ・胸の前をやさしく開く
- ・首まわりを軽く伸ばす
- ・肩甲骨を大きく動かす
軽い筋力トレーニング
- ・肩甲骨を寄せる運動
- ・肩をすくめて脱力する運動
- ・背中側の筋肉を意識した運動
呼吸練習
- ・鼻からゆっくり吸う
- ・口からゆっくり吐く
- ・肩ではなく、お腹や胸の広がりを意識する
短時間でも毎日続けることで、少しずつ体の使い方が改善していきます。
⚠️ リハビリ中の注意点
- ・しびれが強くなる運動は中止する
- ・痛みを我慢して続けない
- ・腕を長時間上げ続けない
- ・反動をつけてストレッチしない
- ・体調が悪い日は運動量を減らす
胸郭出口症候群では、症状が落ち着くまでは無理をせず、少しずつ体を整えていくことが大切です。
🏥 こんなときは専門家へ相談しましょう
次のような症状がある場合は、自己流で続けず整形外科や理学療法士へ相談しましょう。
- ・しびれが強くなってきた
- ・手や腕に力が入りにくい
- ・夜間も症状が続く
- ・仕事や家事に支障がある
- ・セルフケアを続けても改善しない
胸郭出口症候群は原因が一つではないことも多く、どこで神経や血管が圧迫されているのかを評価したうえでリハビリを行うことが重要です。
📌 まとめ
胸郭出口症候群のリハビリでは、
- ・姿勢を整える
- ・胸まわりの筋肉の緊張をやわらげる
- ・肩甲骨を安定させる
- ・呼吸を整える
この4つが大きな柱となります。
症状を我慢して無理に動かすのではなく、日常生活の中で少しずつ負担を減らし、動きやすい体を作っていくことが回復への近道です。
前回ご紹介したセルフチェックやストレッチ・セルフエクササイズとあわせて継続することで、より高い改善効果が期待できます。


