腋窩神経障害の原因とリハビリとは?
おはようございます。理学療法士の水尻です。今日は、169日目の投稿です。
そろそろ夏至ですね。1年で最も昼が長くなる日と言われる「夏至」ですね。「夏に至る」という言葉の通り、夏の始まりの日ということで今年もこれから夏をむかえます。太陽が出ている時間が多いため、日光浴をしてみてはどうでしょうか。現代の人は太陽の光を浴びることが少ないといわれています。太陽の光は朝の目覚め、睡眠の質を上げることに役立ちます。またセロトニンという気持ちを安定させる物質も生まれることがわかっています。結果的にすっきりとした脳で仕事に取り組めるということです。是非やってみてください。それでは、今日も一日頑張りましょう。
今回は、肩の動きや感覚に深く関わる「腋窩神経(えきかしんけい)」に起こるトラブル、「腋窩神経障害」について解説します。スポーツ選手や肩の不調でお悩みの方、ぜひ参考にしてください。
腋窩神経障害とは?
腋窩神経は、首から腕に伸びる神経の束「腕神経叢」から分岐し、三角筋や小円筋、そして上腕の外側の皮膚に分布する重要な神経です。これが外傷や長期間の圧迫などで損傷・障害されると、肩の運動や感覚に影響が出てしまいます。
主な原因
腋窩神経が障害される原因はさまざまです:
・肩関節の脱臼や骨折などの外傷
・繰り返しの動作や圧迫(例:投球動作、重いリュック)
・肩の手術による神経損傷
・筋肉や腫瘤による神経の絞扼(こうやく)
・姿勢不良(猫背、巻き肩など)
特に「四辺形間隙症候群」と呼ばれる状態では、腋窩神経が筋肉や骨の狭い空間内で圧迫されやすくなります。
症状のサイン
・腕を外に挙げる・回すなどの動作がしにくい
・肩〜上腕外側のしびれや感覚異常
・四辺形間隙の圧痛(押すと痛む)
・投球やオーバーヘッド動作での肩の痛み
こうした症状がある場合は、腋窩神経のトラブルが疑われます。
リハビリの進め方
リハビリは「原因を取り除くこと」と「運動機能の回復」が柱となります。重症例を除いては、多くが保存療法(手術せずに治す方法)で改善します。
- 急性期(痛み・炎症が強い時期)
・肩の安静を確保し、痛みを抑えることが最優先
・広背筋などの緊張を和らげるリラクゼーション
・超音波や温熱など物理療法で炎症緩和
- 可動域の改善・筋力強化
・肩甲骨の動きを改善する可動域訓練
・三角筋・小円筋の段階的な筋力トレーニング
・姿勢指導や肩の正しい使い方の習得
・僧帽筋や菱形筋など肩甲骨周囲の筋の強化
- 筋膜リリース・ストレッチ
・小円筋・大円筋・上腕三頭筋長頭などに対する筋膜リリース
・肩甲骨の位置を整えるストレッチ運動
4.日常生活での工夫
・重い荷物を避ける、または持ち方を工夫する
・長時間の肩の圧迫や反復動作を避ける
・投球動作やスポーツフォームの見直し・指導
リハビリ実例の一部
・痛みが強い初期は、側臥位で筋リラックスを行いながらスタート
・筋力低下がある場合は、三角筋の促通や肩甲骨安定化を目指す運動を導入
・中・下部僧帽筋、菱形筋などをターゲットに協調的な運動パターンを構築
まとめ
腋窩神経障害は、外傷・圧迫・姿勢不良など、さまざまな要因で発症しますが、適切な評価と段階的なリハビリによって十分改善が期待できます。ただし放置してしまうと、肩の可動域や筋力が低下したままになり、スポーツや日常生活にも支障をきたす可能性があるため、早期対応がカギです。